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嘯吹とは

嘯吹とは

嘯吹とは

 当社の社名に有ります「嘯吹(うそぶき)」という言葉は、日本で古くより使われている古語で、日本書紀の中にも見られます。よくお問い合わせのある「嘯吹」という言葉の意味についてお示し致します。


 ①神意に叶う「嘯吹」の力
 古事記や日本書紀には「海幸彦と山幸彦」の神話があります。弟の山幸彦は、兄の海幸彦と猟具をとりかえて魚を釣りに出たところ、釣針を失い、神の教えにより龍宮に赴き、海神の娘と結婚します。海神は山幸彦が無くしてしまった兄の釣針を見つけ出し、山幸彦に授けますが、その際に兄に打ち勝てるようにいくつかの神業(かむわざ)を授けます。その一つが風招(かざおき)です。風招とは、「口をすぼめてふーっと息を吹き出すこと」すなわち「嘯吹」なのです。神話の中で山幸彦は、嘯く風招の術で海神の助けを得て、沖の風や浜辺の風を起こし、兄を退けました。
 また、伊勢神宮に「御卜神事(みうらしんじ)」があります。この神事は十月の神嘗祭の前夜に、祭儀に奉仕する神職が、奉仕にかなうか御神意を伺うものです。神職が御垣内にて玉砂利の上に座し、歴名(奉仕者の名前を読み上げる)・口嘯(うそぶき・口をすぼめて息を鳴らす)・琴板(板を叩く)の作法を行い、全てが滞らなければ御神意に叶い、神事に奉仕することが出来ます。

②心身を浄化する「嘯吹」の力
 私達は無意識のうちに呼吸をしています。呼吸しているのは当然の事で、その大切さを感じる機会は、少ないかもしれませんが、呼吸はとても大切な行為で、大きな意味があります。「呼吸をする事」とは「息をする事」です。「息」という字は自らの心と書き、自分の心の状態を表しているとも言えます。例えば怒ったり悲しんでいる時や体調が悪い時、息づかいは浅く荒くなり、反対に心身がリラックスしている時は深く穏やかな息づかいになります。息と心身には密接な関係があるようです。
 「吸う息」が長く、体を動かす事に向いているのが胸式呼吸です。これは自分の中に取り入れる事に重点を置く呼吸ともいえます。この呼吸を続けると、無意識のうちにためる事、独占する事、執着する事につながります。


 「吐く息」が長く、心を整えるのに向いているのが腹式呼吸です。これは自分の中にあるものを手放すことに重点を置く呼吸で、続けていくと、心身を浄化する事につながります。  自分だけが受け取りたいという思いを捨て、与える事、手放す事へと意識を変化させるためにも、「呼吸」は文字通り、吐いてから吸う方が良いようです。呼吸という、生命を支える最も基本的な営みは、吐いたら吐いた分だけ、与えたら与えた分だけ、巡り巡ってくる事を教えてくれているのです。口をすぼめて息吹きをする「嘯吹」はまさにこのことを示しております。「嘯吹」とは神意に叶い心身を浄化するという深い由来のある名称なのです。